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【徹底解説】不動産・建設業の外国人労働者受け入れ|雇用方法・準備

2025.05.28   2025.05.28


深刻な人手不足に直面している建設業界では、人手不足解消のために、外国人材を受け入れる企業が年々増加しています。
本記事では、不動産や建設業で外国人材を受け入れる流れやメリット、建設業で雇用できる在留資格、受け入れるための準備などを紹介します。外国人材の受け入れを検討している企業担当者は、人材確保の参考にしてみてください。

建設業・不動産業で外国人労働者の受け入れる流れ

建設業で外国人労働者を受け入れるには、段階的に進めていく必要があります。外国人材の受け入れに関連した法律を守ると同時に、企業のニーズを満たす人材を見極め、働きやすい環境の整備をしなければなりません。ここでは海外に住んでいる労働者を建設業に受け入れる流れを解説します。

1. 雇用条件の確認

最初に雇用条件を確認します。職務内容や勤務場所、労働時間、賃金、福利厚生、契約期間などを確認し、求人票に記載する内容を整理しておきましょう。

外国人材の求人では、言葉や文化の違いから誤解が生まれやすいため、求人票には誤解のないようにわかりやすい表現で具体的に記載することをおすすめします。また、できるだけ多くの応募者に求人を知ってもらうために、日本語だけでなく外国語で情報を提供できる体制を整備しておくことも重要です。

2. 必要な在留資格の確認

求人を出す前に、建設業に従事できる在留資格を確認しておきましょう。建設業に従事できる在留資格は、「技能実習」「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」などがあります。在留資格によって従事できる職種や業務内容は異なるため、外国人材に従事してもらう業務内容に適切な在留資格の確認をしておきましょう。

3. 求人方法の選択

最初に、どの求人方法で募集するかを決めます。候補者が求人情報を探す手段は、日本語に対応している求人媒体だけでなく、外国語に対応している求人情報サイトがあります。海外に拠点を持っている日本の人材紹介会社などを、利用する外国人もいます。また、厚生労働省が設置している「外国人雇用サービスセンター(Employment Service foreigners)では、外国人留学生や専門分野での就労を希望する人に向けた職業相談や職業紹介を行っています。このような求人媒体や人材紹介会社、公的機関を活用し、外国人材の募集をかけます。

4.書類選考・面接・在留資格の確認

求人に応募があった場合、書類選考の段階で、自社が応募者に求める在留資格を取得しているかを確認する必要があります。また、在留資格だけでなく有効期限も確認すべきポイントです。不法就労を避けるために、企業側と応募者双方で確認しましょう。

面接では、人柄や就労意欲だけでなく日本文化や社会への適応力、日本語能力を評価し、自社が求める人材であるかを確認します。可能であれば、面接の段階で応募者に職場を見学してもらうことをおすすめします。職場の雰囲気や環境を知っても、就労意欲に変化がないかを確認してから採用すると、定着率の向上につながります。

5. 内定と契約手続き

面接で自社の求める適切な人材と判断したら、内定を出し在留カードの提示を求め、期間や在留資格を確認します。問題がない場合は、雇用契約書を作成して労働条件や賃金などを丁寧に説明し、双方が納得した上で契約書にサインをもらいます。

雇用契約を結んだら、ハローワークなどで厚生労働大臣宛てに「外国人雇用状況の届出」を提出します。提出したのち雇用関係が法的にも成立したことになります。

6. 入国後の生活支援と職場定着

外国人労働者の入国後は、職場での支援だけでなく生活面での支援も大切です。住居の確保や銀行口座の開設、携帯電話の契約、市区町村役場での住民票登録など日本で生活するために必要な手続きが多くあります。外国人労働者にとっては、複雑でひとりで行うことが難しいので、企業のサポートが必要です。企業が生活面の支援をすることで、外国人労働者は業務に集中できるため、仕事に早く慣れ定着率の向上につながります。
 

建設業で外国人労働者を受け入れるメリット

建設業界に外国人材を受け入れることには、さまざまなメリットがあります。ここでは、建設業で外国人労働者を受け入れる主なメリットを紹介します。

慢性的な人手不足の解消

建設業界は、慢性的な人手不足に悩まされています。外国人労働者を受け入れることで、人手不足を解消し経営の安定にもつながります。また、技能実習制度や特定技能制度を利用すれば、ある一定以上の知識や技能を持っている即戦力を確保できることも、大きなメリットです。

若い労働力の確保

国土交通省の報告によると、建設業就業者は55歳以上が35.5%、29歳以下が12.0%、全産業では55歳以上が31.2%、29歳以下が16.6%です。建設業就業者は、全産業就業者に比べると高齢化が進んでおり、若い労働力の確保が課題となっています。
外国人労働者は、20〜30代の若い世代が多く、建設業界の課題である若い労働力の確保につながります。

(参考元:国土交通省「最近の建設業を巡る状況について」)

職場の活性化と既存社員の就労意欲の刺激

外国人労働者は、就労意欲が高く真面目に働く人が多いです。そのような姿勢を持った外国人労働者が建設現場に加わると、活気が出て既存社員も良い刺激を受けます。その結果、既存社員の就労意欲が高まり建設現場全体が活気に満ち、生産性の向上にもつながっていきます。

補助金や助成金、支援制度の活用

外国人労働者を雇用すると、活用できる補助金や助成金、支援制度があります。例えば、外国人労働者の研修費用の一部を補助する制度や、外国人労働者を雇用するだけで助成金を支給してくれる自治体もあります。このような支援制度を上手く活用することで、外国人労働者を雇用する経済的負担を軽減しながら、人手不足解消も実現できます。
 

外国人労働者を建設業で必要な在留資格の種類


仕事の種類によって必要とされる在留資格は異なります。そのため、各在留資格の細かい部分まで理解しておくことが重要で、不法就労にならないように、取得している在留資格を必ず確認しましょう。
建設業に従事できる在留資格は、以下のとおりです。

技能実習

項目 内容
制度の目的 技能移転を通じた国際貢献
対象職種・作業 91職種168作業
対象者 原則18歳以上の外国人
在留期間 最長5年
受け入れ形態 団体監理型、企業単独型
日本語要件 なし
家族の帯同 原則不可

 
技能実習は、開発途上国の外国人を日本に受け入れて、働きながら身につけた知識や技術を、帰国して母国の経済発展に活かす国際貢献を目的に作られた制度です。
 
技能実習生の受け入れには、「企業単独型」「団体監理型」があります。
「企業単独型」は、企業が海外の現地法人などの職員を受け入れて、直接教育や指導を行います。企業が実習生の生活面と業務面のサポートを担当します。
 
「団体監理型」は、商工会などの非営利団体が、実習生を企業に派遣して団体の管理下で実習を行います。生活面のサポートも団体が担当します。9割以上の技能実習生が団体監理型で受け入れられています。
 

技能実習1号 技能実習2号 技能実習3号
在留期間 原則1年 原則2年 原則2年
対象職種・作業 62職種116作業 91職種168作業 82職種148作業

 
技能実習制度は、技能実習1号と技能実習2号、技能実習3号にわかれており、対象職種や在留期間が異なります。
 

技能実習が従事できる業務

 

・さく井
・パーカッション式さく井工事
・熱絶縁施工
・保温保冷工事
・ロータリー式さく井工事
・内装仕上げ施工
・プラスチック系床仕上げ工事
・建築板金
・ダクト板金
・カーペット系床上げ工事
・内外装板金 など

 
技能実習1号と2号、3号が従事可能な職種・作業は共通しています。しかし、制度の目的が段階的な技術習得のため、1号は基本的な作業を学び3号はより技術が必要となる作業を学びます。
 

区分 主な目的 具体的な作業内容の例
技能実習1号 基本技能の習得 ・作業場の清掃、安全管理補助
・材料の準備や道具の管理
・先輩作業員の補助としての型枠の組立て 手伝い、鉄筋の搬入・切断など
・簡単な左官作業の練習
・足場の仮設手伝いなど
技能実習2号 応用的技能の習得 ・型枠の施工、鉄筋組立などを独力で対応
・建設機械の操作
・水道やガス管などの配置作業
・内装仕上げ(床材・壁材の貼り付け)
・瓦葺きの実作業
・安全管理や施工図面の理解など
技能実習3号 熟練技能の習得・指導補助 ・作業チームのサブリーダー的役割
・新人実習生への指導補助
・精度の高い作業や難度の高い施工
・安全管理記録や進捗報告書の補助
・現場監督の指示に基づく現場段取りなど

(参照元:OTIT(外国人技能実習機構)「移行対象職種情報」)
 

特定技能

 

項目 特定技能1号 特定技能2号
在留期間 最長5年 上限なし
更新頻度 4ヶ月、6ヶ月、1年ごとの更新 6ヶ月、1年、3年ごとの更新
対象分野 16分野 11分野
家族の帯同 認めない 条件を満たせば可能
永住権の取得 なし
支援の有無 支援計画書の作成が必要 必要なし

 
特定技能は、人手不足が深刻な分野に即戦力となる外国人材を受け入れるために創設された在留資格です。生産性の向上や日本人労働者確保のための取り組みを行っても、なお人材不足が改善されない分野に限り、一定の専門性・技能を持った外国人材の受け入れが認められています。
 
特定技能は1号と2号に分かれています。特定技能2号は特定技能1号よりも、高い技能をもつ外国人に許可される在留資格で、配偶者や子どもの帯同も認められています。
 

特定技能が従事できる業務

 

業務区分 従事できる主な業務
土木区分 型枠施工/コンクリート圧送/トンネル推進工/建設機械施工/土木/鉄筋施工/とび/海洋土木工

土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業

建築区分 型枠施工/左官/コンクリート圧送/屋根ふき/土工/鉄筋施工/内装仕上げ/表装/とび/建築大工/建築板金/吹付ウレタン断熱

建築物の新築、増築、改築もしくは移転、修繕または模様替に係る作業

ライフライン・設備区分 電気通信/配管/建築板金/保温保冷

ライフライン・設備の整備・設置、変更または修理に係る作業

(参照元:出入国在留管理庁「特定技能制度」)
 
特定技能は1号と2号は、従事できる業務区分は土木、建築、ライフライン・設備と同じですが、従事できる業務内容が異なります。
特定技能1号は、指導者の指示・監督のもとで作業を行いますが、特定技能2号は作業だけでなく工程管理や現場指導ができます。
 

特定技能の取得要件

建設分野の特定技能1号を取得するには2つのルートがあります。

・技能実習2号を良好に修了する
・技能評価試験と日本語の試験に合格する

技能実習2号を良好に修了とは、技能実習2号を定められた期間を修了し、就業態度に問題がなく、法令遵守の意識が高いことです。
 
技能評価試験は、建設分野特定技能1号評価試験もしくは技能検定3級が該当します。
日本語の試験は、日本語能力試験N4以上もしくは国際交流基金基本語基礎テストに合格しなければなりません。
 

特定技能1号から特定技能2号への移行要件

特定技能1号から2号への移行するには、建設分野特定技能2号評価試験もしくは技能検定1級に合格しなければいけません。
 
また、特定技能受入計画の認定を受けた企業と、適切な雇用契約を締結していることも特定技能2号の移行要件です。
 

資格外活動許可

資格外活動許可は、在留資格「留学生」や「家族滞在」などで日本で就労することが認められていない外国人が、働くために取得する在留資格です。資格外活動許可を取得すれば、週28時間以内(教育機関の長期休業期間は1日8時間以内)なら就労できるようになります。単純作業にも従事可能です。
 
資格外活動許可を取得した外国人が週に28時間以上就労してしまうと、不法就労とみなされてしまい、1年以下の懲役もしくは禁錮または200万円以下の罰金またはこれらが併科されます。さらに、在留資格を取り消され出国命令を受ける可能性があります。
 
雇用した企業や斡旋者は、不法就労助長罪で3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはこれらが併科されるので、就労時間の制限を厳守するよう心掛けましょう。
 

技術・人文知識・国際業務

 
在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、短大または大学を卒業もしくは日本の専門学校を卒業した外国人が取得できます。
業務範囲は、専門的な知識やスキルを活かした業務に就くことが可能です。そのため、建設現場で単純作業はできませんが、現場監督や施工管理などの業務に従事することはできます。
 

技能

技能は、日本にない特殊な技術を使って働くことを目的に作られた在留資格です。建設業では、ヨーロッパのゴシック様式や中国建築などの建築に関する技術を必要とする業務に限り就けます。
 

身分や地位に基づく在留資格

永住者や定住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者が身分系の在留資格です。これらの在留資格は、日本人と同じように職種や業務内容の制限なく働けます。そのため、建設現場で資材の運搬や清掃などの単純労働にも従事可能です。
 

外国人労働者を建設業で受け入れる準備

建設業で外国人労働者を受け入れるには、事前の準備が不可欠です。特に在留資格については、確実に確認するようにしましょう。在留資格には、建設業の業務に従事できないケースや単純労働が認められていないケースもあります。そのため、企業担当者は在留資格についてよく理解しておくことが重要です。
 
もし、担当してもらう業務に従事できない不法就労者を雇用してしまった場合、外国人労働者だけでなく雇用した企業も罪に問われます。そのため状況に応じて、出入国在留管理庁に確認を取るなどの対応も必要です。
 
また、外国人を雇用する際には「外国人雇用状況の届出」を厚生労働省に提出しなければなりません。提出を怠った場合は、1名につき30万円の罰金が科せられる可能性があるので注意してください。
 

労働環境の整備が不可欠

建設業で外国人労働者を受け入れる際、言語や文化についての理解と労働現場の整備が不可欠です。
 
外国人労働者が快適に業務に従事するには、現場で共に働く日本人従業員の理解が重要です。研修や講習会を実施し、外国人労働者を雇用する意義や宗教、文化への理解を深めてもらう必要があります。
特に宗教は、トラブルの種になる可能性があるため、礼拝や食事などの宗教的義務や慣習に配慮することが大切です。
外国人労働者にも、日本語能力向上のための教育や日本の文化や習慣を理解してもらうために研修を実施する必要があります。
 
建設業では、外国人労働者が日本で安心して働ける環境づくりに取り組んでいます。実際に、日本建設業連合会が、「優秀な外国人に選ばれる建設現場」を目指すために「建設分野の特定技能外国人安心安全受入宣言」を作成しました。「建設分野の特定技能外国人安心安全受入宣言」要旨は、以下の3点です。

1.建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録情報の確認等による不法就労外国人の排除
2. 日本語能力の確認・母国語の活用・共通デザインの安全看板の活用等による現場の安全の確保
3. 同等の技能を有する日本人と同等以上の待遇を行う等安心して働ける労働環境の確保

外国人労働者が働きやすい環境を目指し、必要な改善に取り組む心掛けが大切です。
 

よくある質問

 

不法就労を防ぐために気をつけなければならないことは?

取得している在留資格が、担当業務の内容に就労可能かをしっかり確認することが重要です。不安な場合は、出入国在留管理庁などに相談してみてください。
 

採用した外国人と日本人社員とのトラブルを防ぐにはどうしたらいい?

言語や文化による違いがトラブルの原因になることが多いです。そのため、異文化を理解してもらうための研修やマニュアルを整備してお互いの理解や配慮が大切になります。
 

受け入れ後はどこまでサポートする必要があるの?

銀行口座の開設手続き、住民票の登録手続き、携帯電話の契約手続きなど、仕事以外での生活面でのサポートも求められます。くわえて、定期的に面談やメンタルケアを実施することで、心身ケアも大切になってきます。それらの幅広い充実したサポートを行うことで外国人材の定着率が高くなる傾向があります。
 

まとめ

「不動産・建設業」で外国人材を受け入れる流れやメリット、建設業で雇用できる在留資格、受け入れるための準備などを紹介しました。
人手不足を解消するために、外国人材の受け入れは有効な対策です。それと共に、企業の外国人材を受け入れるためには在留資格について、外国人受け入れ準備や外国人ついて詳しく理解する必要があります。ぜひ紹介した内容を外国人材採用時に役立ててみてください。
建設業への外国人労働者受け入れについての疑問やお悩みがある企業担当者様は、当社までお気軽にお問い合わせください。