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技能実習生は奴隷ではない!失踪などのトラブル回避に必要な外国人雇用の心構え

2024.05.30   2024.05.30

技能実習生と受け入れ企業の間には、さまざまなトラブルが発生しかねません。その一つが、失踪トラブルです。技能実習生が失踪してしまう原因には、劣悪な職場環境や金銭トラブルなど、さまざまな背景があります。今回は、技能実習生との間に起こりがちなトラブルや、トラブル発生時の対応、トラブルが起こらないようにするための対策について解説します。

外国人技能実習生との間に多いトラブルとは?

特定技能職種外国人 勤務風景

 

外国人技能実習制度は、企業・実習生双方にとってトラブルが起こるリスクもはらんでいます。まずは、企業と外国人技能実習生との間に発生する主な4つのトラブルについて解説します。

 

失踪

法務省の調べによると、令和4年度の技能実習生失踪者数は、約9,000人です。技能実習生の受け入れ人数が増えていることから、失踪者数も増加傾向にあります。

法務省失踪技能実習生

引用:法務省「技能実習生の失踪者数の推移(平成25年~令和4年)」

 

国別で見ると、ミャンマーの技能実習生の失踪者数は約600名と全体で4番目の人数です。「ミャンマー人技能実習生は失踪しやすい」ということではなく、近年ミャンマーでは、多くの若者が日本での就労を望んで技能実習制度を活用し来日しているので、このような結果になった可能性が高いです。しかし、多くの技能実習生の失踪には、長時間労働や低賃金など主に労働環境の悪さが原因にあげられます。

 

出典元:法務省「技能実習生の失踪者数の推移(平成25年~令和4年)」

ハラスメント行為

受け入れ企業の技能実習生に対する、パワハラやセクハラ、劣悪な待遇などのハラスメント行為も報告されています。

 

  • ・暴言や過剰な指導
  • ・旅券の取り合げ
  • ・賃金の未払い
  • ・安全に配慮されていない環境での就業
  • ・法令を無視した長時間労働

 

など、技能実習生を奴隷と勘違いしているような事例もあります。それらの行為は、全て人権侵害であり、労働法違反です。厚生労働省の資料によると、令和2年は32件もの企業が悪質だと判断され、送検されるに至ったそうです。

 

出典元:厚生労働省「外国人技能実習生の実習実施者に対する令和2年の監督指導、送検等の状況を公表します」

コミュニケーショントラブル

ほとんどの技能実習生は、自国で日本語を勉強してきていますが、来日前から読み書きや会話が完璧にできるケースはごくまれです。専門用語が多用される職場では、技能実習生が指示を100%理解できない状態で仕事を進め、大きな事故につながるリスクもあるでしょう。

 

また、日本人スタッフ、技能実習生ともに、コミュニケーション上でストレスが溜まると、喧嘩に発展してしまうケースも考えられます。よかれと思って行った行動が、文化の違いから外国人には失礼だったり理解できなかったりして、口論の種やハラスメントと誤解されてしまうなどのトラブルに発展することもあります。

金銭問題

技能実習生との間に発生する、お金に関するトラブルもよく耳にします。賃金の未払いなどは問題外ですが、たとえば過去には、家賃を管理していた技能実習生が企業から着服を疑われ、後に企業側の勘違いが判明したものの、気を害した技能実習生が帰国してしまった事例がありました。

 

また、技能実習生の中には、多額の前払金を借金してまで支払って来日にこぎつける人もいます。一般的な仕事では、借金を返すほどの賃金を得られないため、高額な報酬を誘い文句にした詐欺に巻き込まれるケースもあります。

 

外国人技能実習生が奴隷化する原因とは?

原因 考える

 

失踪する技能実習生が出る日本の現状を見て、海外メディアからは技能実習制度が「現代奴隷」「強制労働」などと厳しい声を受けました。日本で働く技能実習生が奴隷化しているように見える原因について見ていきましょう。

転籍制限が奴隷化の温床に

日本の技能実習制度の大きな課題点としてあげられていたのが、原則、技能実習生は3年間転籍できないという決まりです。つまり、一度配属された技能実習生が日本に在籍するためには、3年間同じ企業に所属していなければならないという意味です。実質、現行の技能実習制度では、どんな労働環境でも実習生本人の意志で3年は転籍できない制度のため、技能実習生が奴隷化していると指摘されています。

 

また、低賃金・長時間労働・人権侵害などの問題がある企業でも、技能実習生を受け入れにより、最短でも3年間、労働力の確保が容易に叶います。そのため、待遇を是正しないという企業もあるでしょう。現在は、政府によって技能実習生の人権擁護の動きが進み、改善の兆しが見えてきています。

企業が技能実習生を労働者と認識している

そもそも、技能実習生は企業の労働力不足を補うための労働者ではありません。技能実習生は、母国の発展のために日本の技術を学ぶ「実習生」です。受け入れ企業の中には、技能実習生を労働力としてしか認識しておらず、配慮が欠ける労働条件を押し付ける企業もあります。

悪質な送り出し機関によって発生するトラブル

技能実習生の受け入れ時、企業と実習生の間には送り出し機関が介入するケースがほとんどです。送り出し機関は、現地での人材募集・日本語教育・出国手続き代行・入国後のアフターフォローなどを行っています。

 

ただし、いわゆる「ブローカー」と呼ばれる、悪質な送り出し機関の介入により、技能実習生との間にトラブルが発生してしまうケースもあるため注意しましょう。出国前の段階で、送り出し機関が技能実習生から高額な費用を徴収するケースが相次いでいます。その場合、技能実習生が借金を抱えたまま来日し、長時間労働や休みなく働かざるを得ず、奴隷のような待遇につながってしまいます。

 

失踪した外国人技能実習生はどこへ?

技能実習生 失踪

 

失踪した技能実習生を探すのは容易ではありません。たとえば、知人などのネットワークを活用し、別の技能実習生の寮や友人宅に潜伏しながら、より遠くへ逃亡する準備をしてから出発するケースがあるようです。

 

中には、失踪を手助けして報酬を得るプロも存在します。失踪した技能実習生がプロのサポートを受けた場合は、情報を消すなどの対策をするため、より捜索が困難となるでしょう。また、不当な扱いを受ける技能実習生の保護を行う日本のNPO法人に保護されている可能性もあります。

 

外国人技能実習生の失踪やトラブルに対する政府の動き

技能実習生 政府

 

技能実習生の失踪などのトラブルの多さを受け、2022年頃から政府によって技能実習制度の見直しが図られ、実習生の人権擁護がより重視されるようになりました。

 

2024年2月には人材の育成と確保を目的とし、技能実習制度に変わる「育成就労制度」へ移行することが決定されました。同制度では、現在原則不可となっている「転籍」の制限が緩和される方針です。育成就労制の開始は2025年〜2027年とされており、開始後は3年間の移行期間が設けられるため、新制度への完全移行は2030年頃と見られています。

 

出典元:厚生労働省「改正法の概要(育成就労制度の創設等)」

 

外国人技能実習生が失踪したら企業がとるべき行動

 

技能実習生が失踪した場合、企業はいくつかの手続きをしなくてはなりません。企業がとるべき行動を4つの手順に分けて解説します。

手順1.監理団体への連絡

まずは監理団体へ連絡をしましょう。その後、監理団体や送り出し機関などの情報をもとに寮を調べたり、技能実習生の知人に話を聞いたりと捜索を進めていきます。

手順2.警察への連絡

次に、警察へ捜索願を出します。技能実習生が何か事件や事故に巻き込まれてしまった可能性も考えられます。

手順3.外国人技能実習機構(OTIT)への連絡

企業に失踪者が出て、技能実習の継続が不可能となった場合は、外国人技能実習機構(OTIT)に「技能実習実施困難時届出書」を提出することが義務付けられています。届出時には、失踪の日時や推察できる原因など詳細を報告する必要があります。

 

出典元:技能実習機構(OTIT)「技能実習実施困難時の届出

 

手順4.退職の手続き

給与の振り込みや社会保険や雇用保険の資格喪失など退職手続きを行いましょう。技能実習生が失踪してしまった場合も、失踪以前の給与を支払わなければ、給与未払いとなり企業の不正行為となるため注意が必要です。

 

外国人技能実習生が失踪した企業へのペナルティとは?

ペナルティ

 

外国人技能実習生の失踪者が出てしまった場合、企業にはペナルティが科されます。事前に把握しておきましょう。

技能実習生の受け入れができなくなる

失踪者数が多いと、最悪の場合、新規の技能実習生受け入れが禁止されます。また、失踪の原因にかかわらず、不当な時間外労働や労災隠しなど、技能実習法や労働基準法等に違反していることが発覚した場合は、受け入れ停止処分が下されます。

「優良な実習実施者」でなくなる

法務省は、技能実習を実施する企業に、優良実習実施者認定制度を設けています。優良実習実施者認定されると、技能実習生の受け入れ人数の拡大や、実習期間の延長などの優遇が受けられる点がメリットです。

 

ただし、失踪者が出た場合は、優良実習実施者認定要件の減点対象です。150点満点中90点以上で優良実習実施者として認定されますが、企業側の責任による失踪者が出た場合には50点の減点となり、認定から外れる可能性が高まります。

 

出典元:法務省出入国管理庁 厚生労働省人材開発統括官「外国人技能実習制度について 優良な実習実施者及び監理団体(一般監理事業)の要件」
出典元:外国人技能実習機構「失踪者の発生が著しい送出機関に対する措置について(周知)」

 

技能実習生の失踪回避のために整えるべき労働環境

環境づくりについての話し合い

 

技能実習生の失踪は、企業にとって大きなデメリットといえます。失踪を防ぐために企業ができる5つの対策を確認しておきましょう。

企業側が技能実習制度への理解を深める

技能実習制度は国際貢献が主旨の制度であり、人材不足を補填するものではありません。実習生を受け入れる企業には、発展途上の国を支える国際貢献の一つだという認識が必要です。

 

また、企業のトップ層だけではなく、従業員にも技能実習制度や技能実習生への理解を深めるよう、促す必要があるでしょう。技能実習生への理解が進んでいなければ、人種差別やいじめ、パワハラなどが横行し、失踪者を出す事態になりかねません。

技能実習生出身国の文化を尊重する

技能実習生の文化を尊重し、日頃から信頼関係を構築する必要があります。特に、指導する際には異文化への理解欠如や言語の壁などが原因で、技能実習生に誤解を与え、トラブルに発展するケースも少なくありません。

 

たとえば、ミャンマーでは人前で怒られる文化がありません。そのため、ミャンマー人技能実習生を受け入れる企業には、問題が起きたときには、個別で指導するなどの配慮が求められます。互いに文化を尊重する環境を整え、気持ちの良いコミュニケーションをとるよう心がけましょう。

労働者の権利を守る

技能実習生は、受け入れ企業と雇用契約を結びます。日本人労働者と同様に、労働者の権利が守られていなければなりません。労働時間や給与、残業代、契約期間などを明確にし、遵守する姿勢が求められます。もちろん、企業都合の契約内容変更は、立派な労働契約法違反です。

受け入れ態勢を整える

職場環境は、技能実習生の失踪の有無に大きく関わってきます。技能実習生は慣れない異国である日本で、日本語で業務を行います。コミュニケーションはもちろん、日々の生活を送る上で問題を抱えることも多くなるでしょう。

 

技能実習生がトラブルや悩みを抱えた際、解決をサポートする企業の体制が整っていなければ、事態が悪化し技能実習生の失踪につながりかねません。メンター制度などを採用し、技能実習生が気軽に悩みを打ち明けられる仕組みを社内に作るのもおすすめです。

政府が認定した監理団体と契約する

技能実習生を受け入れる際には、政府の認定を受けた監理団体(技能実習生送り出し機関)を選ぶようにしましょう。悪質な送り出し機関や、人員不足で機能を十分に果たせない監理団体が存在するのも事実です。

 

また、技能実習生自身に準備金を支払わせるようなブローカーなどを使うのはトラブルの元です。

 

外国人技能実習生の監理団体・送り出し機関とは?

 

監理団体とは、技能実習生の受け入れや受け入れ企業のサポートを行う非営利団体のことです。監理団体は、外国人人材の募集や面接、日本語教育、出国サポートなどを行う、送り出し機関と提携しています。送り出し機関は、外国人人材を日本に送り出す役割を担っており、企業が優秀な人材を確保できるかの鍵を握っています。技能実習生とのトラブルを未然に防ぐためには、外国政府に認定された優良な監理団体や送り出し機関の存在が欠かせません。

 

また、悪質な送り出し機関を通して人材を確保すると、金銭トラブルや実習生の失踪など発生しやすくなる傾向です。技能実習生の受け入れの際には、優良な監理団体や送り出し機関を見極めるようにしましょう。

 

ミャンマーブリッジ」は、ミャンマー最大規模の日本語学校を運営し、人材教育から送り出しまでをワンストップで行う、送り出し機関です。優秀なミャンマー人材をお探しの企業担当者の方は、ぜひお問い合わせください。

 

参考:外国人技能実習機構「政府認定送出機関一覧」

 

ミャンマー人技能実習生がおすすめの理由

特定技能職 外国人研究生

 

ミャンマー人技能実習生の受け入れ人数は、年々右肩上がりとなっています。最後に、さまざまな国籍の技能実習生の中でも、ミャンマー人技能実習生をおすすめする理由を3つ紹介します。

日本語教育が盛ん

ミャンマーは親日国であり、日本語教育が盛んです。さらに、ミャンマー語と日本語は語順が同じで、ミャンマー人にとって学びやすい言語とされています。ミャンマー人の受け入れによって、日本語能力の高い外国人技能実習生の受け入れが叶いやすいとも言えます。

目上の人を敬う文化がある

敬虔な仏教との多いミャンマー人の特性として、日本人と似た国民性を持つとされています。ミャンマー人の国民性としては勤勉、真面目、温厚などが挙げられます。日本同様、目上の人を敬う文化も存在し、ミャンマー人にとって日本は馴染みやすい国とされ、日本で働くことを目指す若者も多いのもポイントです。

国際貢献につながる

ミャンマーは、2021年2月に起きたクーデターの影響もあり、内政が不安定です。さらに、平均年収が低く、国外で働くことを望む若いミャンマー人が多くいます。ミャンマー人材を受け入れることで、企業として国際貢献に関われるともいえるでしょう。

 

まとめ

国際貢献

 

企業側が技能実習生を「労働力の補填人材」「奴隷」のように誤解していると、実習生に対する過酷な待遇やハラスメント行為につながる危険性があります。技能実習生を受け入れる企業は、経営層・従業員共に襟を正し「国際貢献の一端を担っている」という意識を持ちましょう。

 

また、文化や言語が異なる技能実習生と企業は、互いに気を使っていても、トラブルが発生しかねません。技能実習生を受け入れる企業には、実習生の失踪などの大きなトラブルが起こらないように、万全な受け入れ体制の構築、政府や外国政府から認定を受けた監理団体・送り出し機関を活用するのがおすすめです。